成績がオール1という中学生にあった。マクドナルドの席で一人悩んでいる。横にいる友達は「就職すればいいのさ」と気楽なことを言っている。中学3年生の悩みが深かった。
目次
マクドナルドでいじられてる中学3年生の深い悩み
中学3年生の男の子がマクドナルドで同級生と思われる友達にいじられてる。
「どうせオール1なんだから、就職すればいいじゃん」
「高校には行きたい」
「だって、今の成績でどこに行けるの」
「うーん。先生にないと言われた」
「お母さんは三者面談でどう答えていたの?」
「下向いていた」
「で、これからのことを両親と話したの」
「できていない」
「公立は無理だよな。オール1で入れる公立はあるのか?」
「先生にはないと言われた」
「私立はあるの?」
「私立はダメとお母さんに言われた」
この会話を聞いていて、親の顔が見たくなった。
というか、この中学生がかわいそう。
本人は悩んでいる。
そのうち、同級生たちは塾に向かって行った。
ねえ、君はどうしたいの?何が悩みなの?
頭を下に下げて、唇を噛み締めている中学生に話かけてみた。
「高校には行きたいの」
「はい。行きたいですけど無理だって」
「学校は毎日行っているの」
「はい、サボらずに行ってますが、授業がついていけなくて」
「成績はオール1って本当なの?」
「恥ずかしいですけど、本当です」
初めてだ。オール1の生徒に会ったのは。本当にいるんだ。
さらに話してみることにした。
「勉強はしているの」
「勉強のやり方がわからない」
どうやって勉強したらいいのかわからない
中学3年生だと10月という時期は真剣に勉強している時期である。
受験まで事実上100日だ。
私立の高校入試が2月の上旬から始まる。
就職するならもう会社周りをしていないとダメだ。
就活はやる気がないという。
母親も働いている共働き夫婦で、父親は深夜に帰宅して、早朝に仕事に向かう。
週末は疲れ切って寝ている。
母親はフルタイムで働き、アルバイトを夜にしている。
子供との会話をする時間がない。
兄弟は弟が二人いる。
小学校3年生と6年生。
で、弟二人の成績はそこそこいいらしい。
ビリギャル方式で勉強したらどうだろうか?
本屋が近くにあった。
その中学生と一緒に本屋さんに行った。
行った先は、中学生の参考書のコーナー。
中学1年生の数学と英語の問題集を開き、一番簡単な問題を見せたらできない。
英単語はほぼ覚えていない。
数学は中学1年どころか、小学校の算数も危ういのだ。
そこで、小学生の問題集をとって解いてみてと言ったら、3年生の問題まではなんとなできることがわかった。
全くダメなのは分数の計算だ。
小数点が入ってくるとパニックになるらしい。
こんな状態だから連立方程式は全くできない。
そこで、探しれみたら古本屋さんがあった。
小学校の問題集があった。
算数と漢字の勉強をやり直すことにした。
お金もないだろうから古本の問題集を買ってあげた。
勉強法を伝授する前に暗示をかける
「君の成績は落ちるところまで落ちたから、これからは登るだけだ」と言い聞かせて何ができていないのかを説明してやるべきことを教えた。
幸い自宅に国語辞典はあるという。
教科書も中学1年からのもの全てがあるという。
まずは、小学校の算数をクリアしないといけない。
文章を読ませて、漢字が読めなくて文章を音読できない。
だったら、漢字を覚えさせることにした。
呆れたことに、成績はオール1だけどiPhoneは持っている。
「来週までに、この漢字を全て覚えてきてよ。算数の解き方は、YouTubeを見てね」
「あの、高校受験までに間に合いますか?」
「寝ないで勉強することができたらね」
「勉強しようと思っても寝ちゃうんです。はっきり行って絶望感があってどうしていいかわからないのです」
これが本音だ。
誰にも相談できないでいた。
さて、どうするか?
私の仕事は時間に余裕があるが、この子の面倒を見てる余裕を作らなければならない。
そこで、親を呼び出した。
母親は呆れるほどの遊び人だった
マクドナルドにオール1の中学生の母親がやってきた。
よく読んできたと思う。
会ってみて驚いた。
貧乏くさい母親かと思ったら、着飾った遊び人だった。
「お昼は仕事で夜は何をやっているのですか?」
「趣味と実益を兼ねてスナックでバイトしてます」
「あの、子供たちの食事とかはどうしてるのですか?」
「あ、作ってますよ。コンビニで働いているので弁当が余るんです。それを食べさせています」
「勉強は見てあげてるのですか」
「いやー無理なんです。頭悪くてとても教えられません」
言われなくてのみればわかる。
「あの、先日お子さんが友達に馬鹿にされていて、可哀想だと感じて話を聞きました。小学校の勉強からやり直す必要がありますね。」
「そうですか。まあ、働けばなんとかなりますよ」
これ以上無駄な時間になる。
「そうですか。じゃあ私がマクドナルドで少し勉強を教えますね」
「あら、やってくれます。お金払えませんけど」
「お金をいただくつもりはありません」
「なんで、うちの子をそんなに面倒見てくれるのですか?」
「面倒見る義理はありません。でも、このままだと可哀想なので少しだけ勉強を手伝います」
「よろしくお願いします」
そう言って、母親は夜の趣味と実益なる勤務に出かけて行った。
呆れた親だ。
義務教育に留年を導入すべき時期にきている
今回、いろんなことを考えていると複雑な気持ちになってきた。
共働きをしていると親の子供たちのケアを誰がするのだろうか?
親だよね。
親が育児放棄をしている。
義務教育期間に子供の教育のことを全く考えない。
これって、憲法違反だと思う。
日本国民は小学校から中学校まで教育を親が受けさせる義務がある。
この教育の義務を放棄している。
さらに言えば、児童虐待に相当すると考える。
相談したのは民生委員だ。
役所に行って民生委員を紹介してもらい相談した。
弟たちが小さいから、勉強の進捗を確認するためには民生委員さんの協力をお求めた。
話をして、了承してもらい民生委員さんがNPO法人で落ちこぼれを指導するボランティアを紹介してくれた。
ボランティアと言っても元教員だった。
NPO法人と民生委員さんがついているなら、少し安心した。
そして、私をNPO法人の臨時ボランティアスタッフに登録してもらった。
プロの元教師と私がこのオール1くんを鍛えることにした。
課題は与える。
進捗状況は元教師がやる。
フォローを私がやる。
落ちこぼれを鍛え直すシステムを行政ができないものなのか?
この国は教育には金をかけない。
フランスは3歳から義務教育で高校まで無料。国立の医学部で年間数万円の授業料でほぼタダに近い。
その代わり、15歳になって選抜試験があり、職業訓練校に進学するか、普通高校に進学して大学を目指すか、はたまたエリート教育機関であるグランゼコールを目指すかと成績で人間を区別する。
日本は義務教育と言っていながら放置だ。
学校に行かなくても15歳の年になれば、自動で卒業する。
成績がどんなに悪くても卒業だ。
それでいいのだろうか?
日本が衰退する原因になっているのが、教育ではないのだろうか?
中国人留学生の馬鹿にされる東大でいいのか?
中国人留学生が東京大学に入学した。
思いっきり東大を馬鹿にしている。
「東大に入る前にICUに留学した。ICUの学生は全員英会話ができてコミュニケーションができた。東大で英会話ができる学生を探すのが大変だ」
これが日本国最高峰の大学の実情なのだ。
ICUは最初から英会話のできる学生を集めているのではない。
入学後、ICUの英語教育プログラムで徹底的に英会話を学ぶ。英語力を鍛えたのちに全ての授業は英語で行う。秋田県立国際教養大学も同様のシステムだ。
世界に通用する人事を育成するのが目的の大学が2つある。
教育の格差が、貧富の格差も広げる。
義務教育という基礎学習機関から始まり高等教育機関のあり方まで教育改革を行い実行する時期にきているような気がする。