娘に何が起きたのか?中学受験をするのかどうするのか決めかねていた時、娘が「ピアノレッスン行くのやめて、塾に通う」と言い出したのは小学校4年生の11月。「ピアノレッスンは捨てる」ということになり、それからは一切ピアノを触ることもしなかった。その娘が、1日6時間ピアノに向かっているのはなぜ?
娘が10年ぶりにピアノに夢中になった理由
防音設備はない我が家の応接間にアップライトピアノがある。このピアノは母の道楽で、孫の誕生と同時に実家にやってきたピアノだ。娘は3歳からピアノを習い始め、それなりに学校の友達と競い合いながら練習していた。小学校高学年になり、みんな中学受験勉強のために塾に通い始める。ピアノの練習にかける時間が勉強に変わった時期だ。
ピアノは10歳の誕生日に決別した。娘はピアノを触ることもなかった。なんとなく、残念に思っていた。
「中学受験が終わったら、またピアノやればいいでしょ」と言ったら、「いや、お別れした」とキッパリと言ったのには理由があった。
小学校の同級生が、東京芸術大学の先生のレッスンを受けていて、到底追い抜けないと娘は判断したのだ。負けず嫌いの娘は、「成績では絶対に負けないから」と勉強に集中した。
娘は大学生になった。新型コロナウイルスの影響で大学での授業はオンライ授業になり、友達とFaceTimeで話すのが毎日の楽しみになっていた。
仕事を早く切り上げて帰ると、ピアノの音が聞こえてくる。
誰がピアノを弾いているのか?お友達が来ているのかしら?
そう思って、お茶菓子を用意して応接間に入ったら、ピアノを弾いていたのは娘一人だった。
「あら、珍しい。ピアノはもう弾かないと言ってたよね」
「調律してもらいたい。音がずれている」
「調律師さんに電話するのは何年ぶりかな?」
「まだ、生きてるよね。10年ぶりだよ」
「どうして、またピアノやろうと思ったの?」
「YouTubeで東京芸大附属高校の先生がレッスン動画を出しているの。それを見たら、もう一回やってみようかなと思ったの」
「YouTube?誰?」
「森本麻衣先生。東京芸術大学pf卒業、東京芸術大学大学院修了、ミュンヘン音楽大学大学院修了という輝かしいキャリアを持っている。だけど、CDは1枚しかないけど完売してるのよ」
「で、森本麻衣先生の何がよくて、ピアノを始めようと思ったの」
「森本麻衣先生の教え方が具体的で、私が習っていたおばさん先生と違って、やる気が出る。東京芸大附属高校の先生のレッスンが無料だよ」
というから、入れた紅茶を飲みながら娘のピアノを聴いていた。
ハノン教本を弾いているけど、全く指が動いていない。
ときおり「くそーーー」と叫びながら練習している。
私もピアノ弾こうかな?
ピアニスト森本麻衣さんの素晴らしさ
寝る前に森本麻衣先生のYouTubeを見ながら寝るねのが、日課になった。
森本麻衣先生は1986年生まれだから、今年34歳になる若いピアニスト。
ピアノに向かった瞬間に顔色が戦闘モードになる。
森本麻衣先生の教え方は確かにうまい。
娘が動かなくなった手を訓練しているのはこれ。
私が感激したのは「譜読」のレッスン。
森本麻衣先生が素晴らしいのは、自分ができることは全て見せる。
初見の譜読みを見て大感激。とにかく楽譜から音楽にするのが速い。
プロが譜読みする時はこうやるのかと初めて見て感動する。
娘がハマったのは、なんとなく理解できる。
娘のピアノ演奏も気合が入り始め、「防音室に改築してほしい」と言い出す。
少しは進化するだろうか?きっとする。